【ライヴレポート】XANVALA×摩天楼オペラ、2MAN LIVE「斬劇」で見せたのは「決死の戦い」

XANVALAと摩天楼オペラの2マンライヴ「斬劇」が、6月19日に恵比寿LIQUIDROOMで開催された。

2020年1月に結成し、今まさに勢いに乗っているXANVALAと、2007年の結成から長年ヴィジュアル系シーンを牽引してきた摩天楼オペラ。活動歴が一回り以上違う2バンドがこの日、それぞれの想いを胸に熱いステージを繰り広げた。

先攻は摩天楼オペラ。場内の暗転と同時に、会場からは早くも拍手や歓声が沸き起こる。SEから繋がるかたちで「儚く消える愛の讃歌」の演奏が始まると、壮大なメタル・サウンドとともに、その眩し過ぎる存在感を放ちながら、容赦なく摩天楼オペラの色へ会場を染めていく。目まぐるしく変化するヴィジュアル系シーンで、いくつもの壁を乗り越えてきた歴戦の猛者は、同シーンの他バンドと比べると決して派手な出で立ちではないが、シンフォニックなサウンドと洗練された演奏を武器に、華やかなライヴを展開。続く「零れ落ちていく未来」「Anemone」でも安定の演奏力をみせ、彼らのファンであるオペラーはもちろん、対戦相手であるXANVALAのファン・Λ(読み:ラムダ)の心をも次々と魅了していった。
「うちはまだ声出し解禁ライヴが2回目だから、みんなの声を聞けることが、まだまだ嬉しいです。今回の2マンは、XANVALAからのお誘いで実現したけど、摩天楼オペラを誘ってくれる後輩はなかなか貴重です(笑)。しかも、アヤックス(彩雨)が後輩と仲良くしてくれてるっていうことも判明して嬉しいです(笑)」と、苑。続けて「XANVALAのライヴこれからなのに『礼儀正しくて良い子』っていうのはあれなんだけど…(苦笑)」と言うと、会場からは大きな笑いが巻き起こった。そして「巽くんからΛのことを聞いたら『歓声がでかいです』って言ってました。オペラ―も合唱の時の声がでかいと、色んなバンドから言われます。今日はそこも対決だね。気合い入れていこうぜ」と、初期のナンバー「honey drop」から演奏を再開。ステージ上での軽やかな身のこなしと重厚な音との絶妙なバランスに心地よさを感じる。「MONSTER」でノリ良く弾んだかと思うと、一転「桜」では叙情的なシーンに変化させるなど、色彩豊かな曲が繰り出された。
MCを少し挟んだ後、XANVALAの巽がステージに登場。「落とし穴の底はこんな世界」を苑と一緒に披露した。今回の2マンに際して行われた対談インタビューで、実家に飾ってある摩天楼オペラのポスターが、まさにこの曲の時代のものだと語っていた巽。憧れのバンドの演奏で、尊敬するボーカリスト・苑の隣で歌う巽の表情は、見ているほうが笑顔になるほど、生き生きとしていた。サビでは互いのおでこがくっつきそうなほどの距離で熱唱。その様子を微笑ましく見ていたオペラ―とΛの距離もぐっと近付いた。巽が舞台袖にはけた後も、摩天楼オペラの演奏は続き「真実を知っていく物語」で盛大に締め括られた。

後攻のXANVALAが登場すると、1曲目「デスパレート」からアクセル全開で飛ばしていく。摩天楼オペラのステージで一つになったオペラ―とΛが激しく拳を振り上げる中、ステージではメンバー各々が自由闊達なパフォーマンスで、早くもライヴ中盤ぐらいの熱気を放出。「MY BLACK」「ratchet」と、曲が展開されていく度に膨れ上がる凄まじいエネルギーに、ひたすら圧倒される。
そんな雄々しいステージから一転「摩天楼オペラさん、ご出演いただき、ありがとうございます。オペラ―の皆様、先ほどは、こんな”首領パッチ”みたいな奴がいきなりステージに登場してすみません(笑)。ようやくこの日が来ましたね。大好きな、憧れのバンドとの2マンライヴです。さっき摩天楼オペラさんのステージに出させてもらったときもノリノリで、直前まで俺、白目剥いてたからね(笑)」と、会場の笑いを誘う巽。しかし今日は、憧れの気持ちだけでは終われない。XANVALAは、この場所に「死ぬ気で戦いにきた」のだ。
ヴィジュアルロックの王道チューンを感じさせる「聖戰」、脳内リピート必至のナンバー「joke」を携え、再び戦場へ。ライヴ中盤では「冥冥」「ゆらゆら」から「春が刺さる」への流れの中で、XANVALAの楽曲の幅の広さ、可能性を余すところなく魅せつけた。
「想像してみてください。中学生の頃からずっと憧れてるバンドと2マンですよ?バンドって夢であふれてるなって思います。田舎のただのビジュアル系バンドが好きながきんちょが、ここまできたんですよ」と巽が話すと、フロアからは祝福の拍手が沸き起こった。
さらに「ヴィジュアルロックに夢を見せてもらって、ここまできました。次は俺がみんなに夢を見せる番だって心から思います。俺の夢の話を聞いてくれ」という言葉に続けて、優しくタイトルコールを告げた巽。自身のルーツをストレートに描いた曲だという「アーティスト」を力強く歌い上げる。憧れのバンド・摩天楼オペラと同じ舞台で「格好いいアーティストになるため」に成長している瞬間、XANVALAが描く夢を、ここにいる全員と共有するように、会場の一体感をより一層、強固なものにしていった。
ラストの「NIX」では、摩天楼オペラの苑を再びステージに迎え、今度はXANVALAの演奏の中で、ツイン・ボーカルが実現。苑の美しいハイトーンボイスと、巽の力強く真っ直ぐな声が会場全体に響き渡った。

この日、一つの夢を実現させたXANVALA。しかし、彼らは「憧れ」の気持ちだけでこのステージに立ったわけではない。背中を追いかける者と同じ舞台で戦うためにきたのだ。
長年、ヴィジュアル系シーンを牽引してきた摩天楼オペラ。しかし、今はまだ後輩のバンドにすべてを「継承」する時ではない。追いかけてくる者に、なんとしても負けたくないからだ。
2つの「斬劇」は「憧れ」と「継承」の狭間を鋭く貫いた。
XANVALAは8月31日、同会場にて行わるワンマンライブに向けて、摩天楼オペラは続々と決定している大型イベントに向けて、この先も同じシーンを駆け抜ける。

写真◎Λ.kwsk(@a_kwsk_1985)
文◎藤代 冬馬

★SET LIST★

摩天楼オペラ
[SET LIST]
1.儚く消える愛の讃歌
2.零れ落ちていく未来
3.Anemone
4.honey drop
5.赤い糸は隠したまま
6.MONSTER
7.桜
8.Invisible chaos
9.落とし穴の底はこんな世界 feat.巽(XANVALA)
10.Psychic Paradise
11.真実を知っていく物語

XANVALA
[SET LIST]
1.デスパレート
2.MY BLACK
3.ratchet
4.聖戰
5.joke
6.冥冥
7.ゆらゆら
8.春が刺さる
9.アーティスト
10.XANADU
11.誰が為の幸福論
12.NIX feat.苑(摩天楼オペラ)

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