MIRAGE結成20周年、Matinaレーベル生誕20周年、KISAKIバンド活動25周年を祝い、新宿BLAZEで盛大にイベントを開催。MIRAGE/覇叉羅/TOKYO YANKEES/THE DEAD P☆P STARSなど豪華バンドたちが集結し、熱気溢れる満員の会場でまた新たな伝説を生み出した!?
KISAKIが人生を捧げたバンドの一つであり、自身がレーベルオーナーとして大きな転機を迎えたときに誕生したのが、MIRAGEというバンドであり、20歳という若さで設立したMatinaというレーベルであった。
もともとはMIRAGEの活動を補ううえで誕生したMatinaというレーベルだったが、何時しかKISAKIを頼りに大勢の仲間たちが集まり、レーベルとしても大きく膨らんでいった歴史がある。
そのMIRAGEとMatinaが誕生してから20年の歳月が経過。その節目として。何より、自身の人生と青春を捧げたMIRAGEを復活。KISAKIは「BURIAL OF EPISODE –TOKYO」題したイベントを立ち上げ、さらに、MIRAGEとして最新音源となる『BURIAL』『LIVE ARCHIVE 1997~1999』を限定で発売することを決意した。
このイベントのために、当時よく共演していた仲間たちも参戦。さらに、Matinaレーベルに所属していたバンドたちが集まり、一夜限りのスペシャルバンド「魔帝那オールスターズ」を結成した。
3月31日(土)新宿BLAZE。出演したのは、MIRAGE/覇叉羅/TOKYO YANKEES/THE DEAD P☆P STARS/KING/Dear Loving/魔帝那オールスターズ(Vo:幸樹-ダウト- G:龍兎-少女-ロリヰタ-23区- G:MiA-MEJIBRAY- B:塩谷朋之-More- Ds:テロ-†я i ¢к-)/Sclaim(O・A)。90年代中頃からヴィジュアルシーンを世の中へ喧伝してきた生きた伝説たちが集結。その日の模様を、ここに紹介したい。
オープニングアクト.Sclaim
開場中のオープニングアクトとして登場したのが、Sclaim。続々と観客たちが入場してくる中へ姿を現した彼等は、Sclaim目当てのファンはもちろん、ライブを初めて目にする観客たちの意識を、『Eclipse in the transmigration』を通しグッと引きつけてゆく。勢いを持って駆る演奏の上で、しっかり歌を届ける。歌ものヴィジュアル系スタイルの中へ、現代風なリフビートや同期、煽り要素を加え、Secretは、初見の人たちの身体もしっかり揺らしていった。
激しい同期の音とギターサウンドがシンクロ。5月に発売するシングルの表題曲『Celestial sphere』を通し、Sclaimはスリリングでハードな香りをフロアー中へ振りまきだした。サビでは滾る熱をぶつけ、観客たちをしっかり懐へ呑み込んでいく。次第に人が増えてゆく場内。客席後方にも飛び跳ね騒ぐ人たちがいたように、少しずつだが、Sclaimはファンたちを自身の懐へ呑み込んでいた。
最後に、Sclaimは『鳳凰RAVE』をブースト。「全員飛べー!!」の言葉に合わせ、跳ねる人たちの姿も。力強く雄々しい楽曲を舞台上からぶつけるSclaim。彼らのライブを好意的に受け止めていた人たちも多かったように、今後のバンドの躍進に期待しようか。
1.Dear Loving
イベントの幕開けを飾ったのが、Dear Loving。「自分のことを少しでも好きになれますように」。Dear Lovingのライブは、愛にあふれたメッセージを詰め込んだ『LOVE ME』からスタート。一緒に口づさめる、いわゆるシンガロングなスタイルを魅力にしている彼ら。それ以上に、胸の内側から沸き上がる想いを、どれだけ真摯に、真っ直ぐ届けていけるか。「明日も笑う君でいて」、この日もDear Lovingは、胸をくすぐる歌メロと心地好く疾走する演奏を通し、心へ嬉しく熱を注ぐように歌の風を吹かせてきた。
歪んだギター音が炸裂。一気に感情と演奏のアクセルを踏みながら、Dear Lovingは『I’m here』をぶつけた。凛々しく、でも、その中には愛おしいほどの愛情が満ちている。少しネガティブな心へ、彼らの歌は友達のように寄り添い、力強く背中を押してゆく。何時だって、身近にいて励まして欲しい相棒のような存在。だから、Dear Lovingの歌が25年もの時を跨いでずっと支持を得てゆくのだろう。激しく疾走する演奏が、身体を熱く疼かせたのも嬉しかった。
「いろんなことがある中、ずっと生きてきたから、こういう再会の場が出来たと思ってる。そしてKISAKIさんにオファーされたら断れる事がない(笑)」。MASAの言葉を示すように流れたのが、Dear Lovingの代表曲『365』。これまでの歩みを振り返るように、何時だって後悔を背負いながら、それでも光見える未来に手を伸ばしたくて、彼らは音楽を通し自分らが生きる意味を、365日25年間も積み重ねてきた。一人一人に、いろんな「その人だけの道」がある。それがいばらの道なのか、輝きを放っているのか…。それがどんな道であろうと、そこにはかならず、スポットライトがあなたを照らしている。それこそが奇跡であり喜びであることを、Dear Lovingは暖かい歌に変え届けてきた。「365日の色とりどりの物語」、まさに、ここに集った出演者とファンたちに相応しい歌のエンブレムじゃないか。
「生きてこそナンボやと思ってる。だから、こういう出会いや再会があって、意味のある1日になると思ってる。俺たちは「生きる」をテーマに歌っています。かならず自分の心にフィットする歌があると思うので、それを好きになって、また再会出来たらなと思います」(MASA)、
会場中の人たちが人指し指を高く突き出した。「飛べるさ、君にだって」、最後にDear Lovingは『Fly high』を演奏。天高く突き上げた指先は、何時しか翼に変わり、彼らと一緒にまだ見ぬ未来へ向けて想いを飛ばしていた。「あなたが生きている今日は、誰かが生きたかった日々で」。彼らはつねに命の声を響かせてゆく。その歌声と演奏が、僕らに「生きろ!!!」と想いを投げかけてきた。さぁ、君らも明日へ向って飛べるから。Dear Lovingの歌は、これからもいろんな人たちに伝え続けたい心の声だ。
2.KING
現在は、ヴォーカルRyoのソロスタイルで活動中のKING。この会場へ足を運んだ人たちなら、LAID時代の彼の活動のほうが印象深いだろうか。
「新宿ベイべー、声聞かせてくれやー!!、派手にいこうぜ!!!」、Ryoの声を合図に飛び出したのが『INAZUMA THUNDER GIRL』。激しくドライブするロックンロールな演奏の上で、豪快に歌をぶつけるRyo。一緒に衝撃を感じようぜ、ロックなパーティを楽しもうぜと呼びかけるように。KINGはド頭から、フロアー中に熱いロックンロールな風を吹かせてきた。
「騒げ騒げ」、熱を止めることなくKINGは、立て続けにワイルドでタフなロックンロールナンバー『maxmum the GENELEC』をブースト。豪快な音が、「騒ぎたいだろ」と観客たちの感情を奮い立たせてゆく。豪放無頼な演奏に飛び乗り一緒に騒ぐのか、圧倒されたまま傍観してゆくのか。まだ二極に分かれていた場内だったが、どっちが正解かは言わなくてもわかるだろっ!!!。
「WOW WOW WOW」、ともにシンガロングしたくなる『流星』の登場だ。胸をくすぐるキャッチーな歌と軽快な中にも重量感を持った演奏が、一気に身体をはしゃがせた。ともに歌を口づさむ人たちも。突き上げられた沢山の拳が、何時しかフロアー中で大きく揺れていた。派手で、コージャズ、何より熱く胸をくすぐる歌にハートが嬉しく震えていた。「すべての答えはきっと」、ここにあるんだよな。
「まだまだイコうぜ」、激しさと勢いを増すように『NEVER END,CRY.』が駆けだした。楽しいパーティな空気へ胸を熱く焦がした人たちの突き上げる拳が、演奏を経るごとに増えてゆく。このパーティは止まらない。互いに裸な心になって熱狂をぶつけあおうぜと、Ryoは誘いをかけ続けていた。
「20年前はKISAKIくん率いるMIRAGEと対バンするなんて考えも及びませんでしたけど、20年経って、こうやって対バン出来た。最後まで楽しんでいこうじゃないか」。
ハード&ロックンロールな『KING WAY.』が飛び出した。最後までKINGは、激しく熱く豪快な楽曲を叩きつけ観客たちを沸かせていった。Ryoの呼びかける誘いに絶叫と拳を突き上げ、ともに、がむしゃらに騒ぎ狂いたい。突き上げたその拳に、誰もが熱い想いのメッセージを乗せ、Ryoへ、KINGへ、熱した想いを投げ返していた。「燃え尽きて、消えるまで」、その熱情が、とてもRyoらしいじゃない。
3.TOKYO YANKEES
yoshinumaの雄叫びを合図に、凄まじい轟音を響かせTOKYO YANKEESのライブがスタート。らしい幕上けじゃないか、彼らの咆哮に拳を突き上げ呼応する観客たち。『Pre emptive strike』の演奏が、身体を激しく震わせる。豪快な演奏に合わせ暴れ狂えと呼び込むように、彼らは激熱なリフビートを刻み続けていた。その様はまさに、我が道をひた走るTOKYO YANKEESに似合うユニフォーム。
勢いを加速するように、TOKYO YANKEESは『Serial killer』をブースト。ハードコアパンクなスタイルを持った楽曲が、ハンマーを激しい勢いで叩くようにせまりだす。その迫力に熱狂するか、呑み込まれるか。この日は圧倒される人たちが多かったが、そんなのお構いなしに、彼らは爆音をぶつげ、スクリーモし続けていた。
演奏は『Bastard』へ、楽曲は勢いを持続させるどころか、爆音を轟かせ暴走し続けていた。豪快で一本気なスタイルがイカすじゃない。会場中を包み込む轟音、その唸りの中へ身を浸してゆくことが快楽だ。この熱狂、もっともっとむさぼり喰らいたい!!
「MIRAGEとやるのは20年ぶりになるのかな。それ以来。KISAKIくんとはずっと付き合いはあるんだけど。今日は20年越えのバンドばっかだよね。TOKYO YANKEESも今年30周年です、よろしくどうぞ。歳も取れば動きも鈍くなるよね。うちらも汗だくで頑張ります。めちゃくちゃ暴れていってください」(yoshinuma)
飛び出したのが、長年カバー演奏し続けてきたMOTERHEADの『ACE OF SPADES』だ。今や彼らの代名詞の一つとも言える楽曲。何より、TOKYO YANKEESのスタイルにとても似合う。この日も豪快に演奏を叩きつけ、暴れる観客たちの感情へ熱い刺激を注入していった。
「WALKIN RAT RACE」の掛け合い。豪快さを引き連れ流れたのが、TOKYO YANKEESのライブで熱狂と絶叫を交わしあう『RAT RACE』だ。激烈で重量感満載なリフビートとキャッチーなのにグロウルする歌とが轟音の中で絡み合う。このカオスな音こそが、TOKYO YANKEESのライブ。その演奏は、身体を熱く熱く騒がせてゆく。
最後にTOKYO YANKEESは『HOLLYWOOD HEARTBREAKER』を叩きつけた。後半3曲は、まさに20年以上前から親しんできた流れ。あの頃からTOKYO YANKEESを体感している人たちには、最強に熱狂を呼び起こす神セトリ。轟音の渦に呑み込まれ、拳突き上げ、限界を越える勢いで暴れ倒したい。彼らの演奏は、触れた人たちの気持ちも身体も10代や20代の頃の自分に戻してくれた。変わらぬ格好良さを維持し続けているTOKYO YANKEES。我が道ぶりこそ、彼らに似合うスペードだ。
4.THE DEAD P☆P STARS
THE DEAD P☆P STARSとMIRAGEも…と言うよりは、リーダーのKENZIとKISAKIとはもう二十数年来の親友でもありアンチフェミニズムでも活動して来た。
その先の世界へ一気に突き抜けるよう、凄まじい勢いで楽曲が騒ぎだす。THE DEAD P☆P STARSは『STAR☆LOVER』を相棒に、観客たちを暴れ騒ぐ熱狂の中へ連れだした。タイトでスピーディ、激しいながらもキャッチーさを魅力にしているように、『STAR☆LOVER』は、触れた人たちの感情にはしゃぎたい熱をどんどん注ぎ込む。つかみを持った暴れナンバー、そこがTHE DEAD P☆P STARSらしい魅力じゃないか。
「今日は90年代の匂いがプンプンする同窓会のようなイベントになってますが、楽屋は昔からの仲間たちが集まって楽しくやってます。時間だけは止められないものだけどさ、心の時間は何故か止められるんだよな。みんなも、あの頃に戻って楽しんでください」(AKI)
飛び出したのが、『JUSTICE』だ。ポップでキャッチーさを全面に押し出した楽曲を魅力に、彼らは触れた人たちの心をドキドキはしゃがせてゆく。体感的な熱狂も嬉しいが、胸の内側がワクワクしてゆく楽曲も、THE DEAD P☆P STARSには欠かせない。
演奏は、『いばらの道』へ。胸をくすぐるギターの旋律の上で浪々と、高らかにAKIが想いを宣言。ドラムビートの合図と同時に、楽曲は心地好い熱狂を持って華やかに駆けだした。とてもポップでキャッチーだ。疾走する開放的な演奏に触れていると、どんな茨の道だろうと、この歌を相棒に駆け抜けてゆく気持ちになれる。胸をスカッとさせながら、THE DEAD P☆P STARSは『いばらの道』を通して光射す道を示していた。その歌に、演奏に触れていると、気持ちが嬉しく奮い立つ。その勇気と輝くパワーを、この歌が、THE DEAD P☆P STARSが教えてくれた。
「みんなが笑顔で手を振ってくれるとさ、それが一番の喜びなんです。こうしてみんな元気にライブをやっているからさ、音楽を続けてるからイベントも組めるわけで、みんなが来てくれるからまたやりたいなと思うわけで。俺たちには俺たちの良さがある。今日出てるバンドみんなの応援、これからもよろしく頼むぜ!!」(AKI)
「KISAKIがステージに戻ってきて一緒にこうやって出来て本当に感謝しています。みんな、今日だけはね、あのときのことも思い出しながら観てもらったら楽しいと思います」(KENZI)
「あの頃に戻ろうぜ」、AKIの声を合図に飛び出したのが、『W.A.R』だ。熱いエナジーを一気に解き放つように演奏へ情熱をぶつけるメンバーたち。爆走する演奏の上で、AKIが熱く煽る。舞台前方では熱いバトルが繰り広げられていた。放熱する演奏に触発され、暴れずにいれない。でも、その中に愛を覚えるのも、THE DEAD P☆P STARSのメンバーらが持つ本質的な優しさが滲み出てくるから。胸をぐっとつかむ熱狂、その姿勢をTHE DEAD P☆P STARSが見せてくれた。
5.覇叉羅
90年代のヴィジュアルシーンに激しい華を咲かせた覇叉羅の登場だ。幕が開くと同時に、そこには覇叉羅のメンバーたちの姿が居並んでいた。彼らは勇壮に、豪快に『VICTIM OF”D”』を突きつけた。激しいギターリフとブラストビートが絡み合い、観客たちの暴れたい感情のスイッチをガンガンに押してゆく。激走する演奏の上で、シャウトし、歌いあげるhideki。90年代のヴィジュアル系音楽の香りを、あの時代性が持っていたヤバい刺激を、覇叉羅が現代へ甦らせた。拳を振り上げ、ともにボイボイ叫び狂えばいい。あの頃に体感した、身体を芯から熱く震え立たせる興奮が、覇叉羅の演奏によって甦る。このヤバい空気感が、たまらない。
歪みを上げ唸るギターの音を合図に、楽曲は重厚な激しさを持って走り出す。ハードコアな要素とメロウな魅力を重ねあわせ、観客たちを熱狂の渦の中へ覇叉羅はガンガンに引き込んでゆく。『INSANITY』が注入したスリリングで、ビリビリと痺れるヤバい緊張感。あの空気を僕らは探し求めていた。デンジャラスなあの空気に触れ、意識と身体が嬉しく騒ぎ続けていた。
豪快な音を叩きつけ、『加虐性精神分裂症』が飛び出した。激しい衝撃に触発され暴れる観客たち。興奮を導く爆弾を次々投下しながら、覇叉羅は「これが俺たちの作り上げてきた、あの時代の空気だ」と言わんばかりに、観客たちをヒリヒリとしたあの頃へタイムスリップさせていた。暴れたい、騒ぎたい、いや、すでに暴れ騒いでいるのだが、それでも、もっともっとその刺激を欲していたかった。
「今日は全力でお前らをつぶしにかかるからよ、お前らも全力でつぶしにかかってこい」(hideki)。
その言葉を証明するように、覇叉羅は激しく唸る『Passage』を突きつけた。挑むどころではない、喧嘩をふっかける勢いで熱く挑発し続けるメンバーたち。滾る熱した血が身体中を駆けめぐる。これは戦いだ。25分という短い中で魂と魂を、気合いと気合いをぶつけあい、ともに絶叫へ向かう嬉しい戦(いくさ)だ。感情が沸き立つ。いや、もうヤバいくらいに沸騰しているぞ!!
覇叉羅が最後に突きつけたのが、気持ちを嬉しく沸き立たせる激情昂揚歌の『Still』だ。口づさみたくなるキャッチーさを持ちながらも、触れた人たちの身体中へ暴れ狂わせるアドレナリンを注ぎ込む。誰もがその歌に触れ大きく手の花を咲かせ、興奮の中へ身を寄せていた。このゾクゾクッとした嬉しく震える興奮、出来ることならまた求めたい。もはや、今の時代の中では感じれないからこそ…。
6.魔帝那オールスターズ
Vo:幸樹-ダウト-/G:龍兎-少女-ロリヰタ-23区-/G:MiA-MEJIBRAY-/B:塩谷朋之-More-/Ds:テロ-†я i ¢к-という面々が集まり、一限りのスペシャルバンドとして誕生した魔帝那オールスターズ。冒頭を飾ったのが、Matinaの顔とも言えたMadeth gray’llの『missantroop』だ。哀切な香りと嘆きの旋律を抱き疾走する演奏の上で、幸樹が艶やかな声を魅力に妖しくせまりだした。闇の中へ身を浸し、痛みに恍惚を覚え、優しく悶え狂いたい。この悲愴さを抱いた音と歌の調べがたまらなく心地好い。痛み覚えようとも離したくない、嬉しい嘆きと衝撃だ。
飛び出したのが、この日のメンバーでもある幸樹と塩谷朋之が在籍していたMist of Rougeの『地下室』だ。激しく暴れ狂うダークでハードコアでブラストビートな演奏の上で、幸樹が嘆きも抱いた激情した声で歌いあげる。激しく攻める楽曲に触発され身体が騒ぎながら、哀切さも抱いた刹那な歌に心が酔いしれる。何より、あの頃のような刹那く華激で暗鬱な熱狂を全身で抱きしめていたかった。
「思い返すといろんな思い出が浮かび上がってくるんですけど。僕は高校生の頃にKISAKIさんと出会いMatinaに所属しまして、いろんな先輩方の姿を観て育ってきました。僕らは今も戦っているので、あの頃が懐かしかったじゃなく、とことんまで頭振れ!!」(幸樹)
胸をくすぐる美しい旋律が、疾走する演奏の上で輝きを放つ。飛び出したのが、Lubis Cadirの『season』だ。1990年代後半から2000年代前半のヴィジュアル系バンドが持っていた切なくも華激な衝動/酔いしれる美メロながらも胸をグッと切なく疼かせる感覚が、瞬時に甦ってきた。今でも、胸をグッとつかむ楽曲だ。その歌に、歌詞に、美的な展開を描く楽曲に溺れ、醒めぬ夢の中へずっと浸っていたかった。
「とことん暴れようかー、ヤレるかTOKYO」、あの頃のような煽りだ(今もか)。飛び出したのが、KISAKIがMIRAGEの後に結成したSyndromeの『do・mes・tic』だ。激しく猛り狂うギターの演奏と強烈なブラストビートが炸裂。幸樹は荒れ狂う演奏の上で、グロウル交じりに熱く、激しく挑発し続けてゆく。身体中の血が沸騰する。もっともっと暴れたい。熱狂の中で咲き狂いたい。この衝撃へ、肉体が嬉しい悲鳴を上げてゆく。終盤には、マイクを投げ捨て歌う幸樹。誰もが理性なんて服は脱ぎ捨てていた。思いきり頭を振りながら、あるべき姿に戻っていた。
最後に魔帝那オールスターズが突きつけたのが、テロが在籍、ヴィドールの『人魚』だ。光を放ち駆け上がる楽曲へ、僕らは思いを捧げずにいれなかった。激しさの中にも開放性を抱いた楽曲だからこそ、(きっと)会場中の誰もが沸き立つ熱情を(心で)捧げていた。間奏では、フロント陣4人が勢ぞろいし、演奏。一夜限りの特別なバンドだからこそ、演奏する側も、あの頃の香りを自分たちでも懐かしみ、自身の懐へ新たな刺激として注ぎ込んでいた。
在りし日の記憶を、形を変え甦らせた魔帝那オールスターズの演奏。あの頃へ戻りたい衝動に駆られていた人たちも、きっと多かったに違いない。
7.MIRAGE
Vo:AKIRA/G:YAYOI/B:KISAKI/-サポートメンバーにG:A・O・I(SHAZNA)/Ds:魔太朗という布陣のもと、MIRAGEが復活を遂げた。それは、伝説を閉じ込めた殻が割れ、新たな生命が誕生するようにも感じていた。振れてはいけない禁断の存在が目覚めたとき、そこには、新たな伝説を塗り替えるバンドが鎮座していた。
幕が開いた中、シルエット姿で映しだされたメンバーたち。MIRAGEのライブは、AKIRAの歌声からゆっくりと復活の扉を開くように『…Air』から幕開けた。楽曲が始まると同時に、熱を持った演奏が表情を描き出す。哀切さと美しさが広がる空間の中、躁蒼とした調べの上で、今にも壊れそうな想いを、嘆き、零すように歌うAKIRA。彼の想いを、躍動した演奏が後押しする。とても悲嘆なドラマが、そこには広がっていた。触れてはいれない心の傷をふたたびえぐるように、痛心地好く胸に突き刺さる『…Air』。なんて嘆く悲愴な物語の始まりだ。
一転、ヒリヒリとした、でも、確かな力を抱いたギターの旋律が鳴り渡る。緩急巧みに音の絵を描き、MIRAGEは『流星』を響かせた。魂を浄化するような開放性を抱きながらも、その旋律には嘆く影がまとわりついていた。だからこそAKIRAの壊れそうな、でも確かな力強さを持った歌声が、希望と絶望の狭間の中で揺らめく恍惚を連れてきたのかも知れない。
楽曲は一気に感情を昂らせた。激しく疾走しながら、いや、暴走した熱い感情のまま、荒々しく、でも薄闇の中を突き進むように『Wind Whisper』を連れてきた。愛しい想いを、壊れそうな感情を、嘆きと高揚の境界線の上に立ちAKIRAは歌い続けていた。彼のアンバランスな心を、激しく駆る演奏陣が力強く支えてゆく。もっともっと昂揚の中へ共に飛び出そうと言わんばかりに。その歌は、嘆く人たちを月の映える夜空へ連れだした。そこへ辿り着けば、その心が少しは晴れると願うように。
「もう20年か、20年色褪せないというか、20年経ってさらに進化したMIRAGEをこの場で見せたいなと思います」(AKIRA)
飛び出したのが、『ESCAPE』だ。魂を明日へ開放するように響く旋律を相棒に、僕らの心も演奏に合わせ心地好く揺れていた。心に溜まった澱やわだかまりを解き放つように、AKIRAはその先をまっすぐに見据え、歌いあげる。哀切ながらも胸をグッと揺さぶる旋律が、演奏が、触れた人たちを「あの場所」へと連れてゆく。間奏で見せたツインギターの調べが、なんて胸を昂らせたことか。想いをぐっと握りしめ、何より、みずからの感情の扉を解き放つように歌うAKIRA。「何時か色褪せた想いに抱かれて」。その想いが、とても愛おしい。その褪せた想いへふたたび色を加えるように、MIRAGEは今を塗り重ねていた。
AKIRAの言葉からの幕開け。哀愁と情熱を重ね合わせた旋律と、胸をグッと疼かせるメロディがたまらなく心地好い。『Feeling Melody』に触れながら、哀切さと嘆き、華麗さと儚さを持った演奏に身を預け、心地好く刺激する痛みへ、彼らと同じよう生きている感覚を覚えていた。「この夢が醒めれば、きっとまた笑える」と、MIRAGEは想いを嘆いてきた。でも、この夢は醒めないほうが笑える。そんなことも心に抱きながら、刹な演奏にずっと浸っていたかった。
「この想い届きますように」。今はこの世から離れ、違う世界で夢を喰らっている愛しい仲間たちへ向け、MIRAGEは『Rain』を届けてくれた。蒼く淡い色合いを見せるギターの調べの上で、AKIRAは込み上がる想いを空へ届けるように、嘆いた声さえ隠すことなく歌いあげてゆく。その想いを、哀愁と浪漫を携えたギターの旋律が昇華していった。その歌声と演奏には痛みと同時に、不思議と惹かれる優しさが滲んでいた。それが、彼らの言霊だと言うように。
「イケるかー!!」、観客たちを激しく煽るAKIRA。飛び出したのが『I.D 』だ。切っ先鋭いスリリングな演奏が、身体をグサグサと貫いてゆく。痛い衝動を抱いた演奏と、感情を剥き出しに歌い叫ぶ声に触発され、身体がゾクゾクッと武者震いを覚えていた。激しさをまとい疾走する演奏へ飛び乗り、共に熱狂の中へ飛び込めばいい。フロアー中から突き上がる拳に、メンバーらの煽りに触発されて起きたヘドバンの風景。時を忘れるように続く、煽りの光景。その中へ、この日出演したメンバーたちを呼び入れた。ここからは、出演者らと観客たちとの戦いだ。互いが、限界を越える勢いで煽れば、客席でも暴れ続けてゆく。舞台上では、次々とマイクをリレーしながら煽る様が描き出されていた。互いに限界を…というよりも、ファンたちがこの煽りを乗り越えられるのか。でも、この日にしか姿を現さない夢の大セッションだからこそ、満員のオーディエンスみんなも必死に熱狂へ食らい付いていた。
「全員でかかってこい!!」、AKIRAは、MIRAGEのメンバーたちは、セッションを通し作りあげた熱狂をさらに熱く燃えたぎらせようと、最後に『百花繚乱』を突きつけた。なんて胸を熱く揺さぶる楽曲だ。痛みへ恍惚を覚える感情と、嘆く美しい歌にキュッと心を疼かせる、二つの心の琴線を刺激しながら、この場へ遭遇した人たちへ、MIRAGEは解けたくない感動と興奮の魔法をかけてくれた。
果たして、この日のライブは一夜の夢だったのだろうか。また、新たな展開を描く始まりの音色(演奏)だったのか。その先の姿は、リーダーKISAKIの心のみぞ知ることだ。
「全バンドが解散して環境が変わり色んな事があって全てが嫌になって一年間以上音楽やステージから避ける様な生活だったけど、今回、メンバー、スタッフ、出演バンドの皆さんと腹を割って話しました。みんなが背中を押してくれてやる気になった。その結果本当に素敵なイベントになったなと本当に感動しています。一年以上ステージに立たず、ヴィジュアルシーンは面白くなくなってきたな~と思ってたんですけど。今日のライブは楽しかったな。まだまだいけますね。MIRAGE地元の大阪でもやりたいし、2O周年YEARの一年間限定の活動予定ですが何が起きるかわかりません。その先のことは…」(KISAKI)
夢幻のような一夜の熱狂を描き上げた、このイベント。果たして、本当に埋葬されてしまうのか。それとも…。その答えは。。。KISAKIバンド活動25周年の今、何も無い訳がないだろう。
PHOTO:zoi / 柳本史歩(FOTO LORE)
TEXT:長澤智典
1.Sclaim
『Eclipse in the transmigration』
『Celestial sphere』
『鳳凰RAVE』
http://www.sclaim-official.com/
2.Dear Loving
『LOVE ME』
『I’m here』
『365』
『Fly high』
3.KING
『INAZUMA THUNDER GIRL』
『maxmum the GENELEC』
『流星』
『NEVER END,CRY.』
『KING WAY』
4.TOKYO YANKEES
『Pre emptive strike』
『•Serial killer』
『Bastard』
『ACE OF SPADES』
『RAT RACE』
『HOLLYWOOD HEARTBREAKER』
5.THE DEAD P☆P STARS
『STAR☆LOVER』
『JUSTICE』
『いばらの道』
『W.A.R』
6.覇叉羅
『VICTIM OF”D”』
『INSANITY』
『加虐性精神分裂症』
『Passage』
『Still』
7.魔帝那オールスターズ
(Vo:幸樹-ダウト- G:龍兎-少女-ロリヰタ-23区- G:MiA-MEJIBRAY- B:塩谷朋之-More- Ds:テロ-†я i ¢к-)
『missantroop』(Madeth gray’ll)
『地下室』(Mist of Rouge)
『season』(Lubis Cadir)
『do・mes・tic』(Syndrome)
『人魚』(ヴィドール)
8.MIRAGE
『…Air』
『流星』
『Wind Whisper』
『ESCAPE』
『Feeling Melody』
『Rain』
『I.D 』(大セッション)
『百花繚乱』
KISAKI
https://twitter.com/kisaki_official
http://kisaki-official.syncl.jp