南るみが、『ルミ』というソロ名義で表舞台へ姿を現したのが、今年5月のこと。あれから彼女は、本数を絞りながらもコンスタントにライブ活動を続けてきた。同時に、今の自分の想いを、音楽を通じ残る形で伝えようと、音源制作も進めていた。それが一つの形として結実したのが、ミニアルバム『そのうちなんてありえない』になる。
9月30日、南るみにとっては馴染み深い六本木morph tokyoを舞台に1st ミニアルバム『そのうちなんてありえない』発売記念ライブを行った。初音/yucatがゲストとして華を添えたこの日の模様を、ここにお伝えしたい。
ライブは、作品にも収録、南るみの想いを一番リアルに歌詞へ投影した『価値』のMVが流れ幕を開けた。一節一節の歌詞を映し出すことで、彼女が何故、再びこの舞台へ戻ってきたのか…その想いを誰もが映像と、綴られる言葉と、『価値』を通した南るみの歌声に心を傾けながら巡らせていた。
「それを止めたら 私は二度と光を見れなくなる~この命が絶えるまできっと歌い続けて行くのだろう」。
彼女はこれからも歌い続けてゆく。その決意を力強く響かせるよう、ライブは『価値』から始まりを告げた。「私の涙にはもう何の意味も無いと知っている」、自分を悲観しながらも、南るみは「何故、私はここに立っているのか?」「なぜ、マイクを手に声を響かせてゆくのか」と歌いかけてきた。彼女は揺るがない意志を手にしたからこそ、揺れ動いた過去の弱い自分の素顔さえ晒けだしていく。今にも壊れそうな歌声を悲々と響かせながら、南るみはしっかりと前を見据え、次第に歌声へ強い意志を注ぎ続けてゆく。「勝ち負けのない世界で生きる意味を見出せるか」「この命が絶えるまできっと歌い続けて行くのだろう」。その決意は、確かな命を持って心に届いていた。
一転、満面の笑みを浮かべ彼女が歌いだしたのが、爽やかな風を胸にそよがせた『今日の自分を愛してあげよう』。何度も心傷つき、挫けそうになった彼女だからこそ今、歌うことを楽しもうとしている。まだ、無邪気に楽しむには早すぎる時期かもしれない。でも、いろんな苦しみを踏みしめ歩きだした今だからこそ、「何も恐れることなく楽しもう」と、みんなへ…何より、自分へ言い聞かせるように歌いかけていた。楽曲が進むにつれ気持ちが昂り、歌声に張りが生まれてゆくのも、いつもの彼女らしさ?!舞台に立ち、声を発することが彼女の生きる証。いや、自分があるべき本当の素顔なのかもしれない。だから、次第に笑顔が浮かんでいたのだろう。
「今日からは南るみという名前でやっていきます。まわりの目を気にしたり、自分の必要性も考えたり、ソロになって自分の中でいろいろな葛藤があったんですけど。今日は自分を示す作品が出来たので胸を張って歌いたいと思います」
「私は歌を唄うために東京に来ました。その気持ちを思い出すために作った曲です」。ミニアルバム『そのうちなんてありえない』には、ふたたび歌いだすための意志や決意を詰め込んだ楽曲が多い中、『リンク』は過去の自分を懐かしむ想いを綴った歌。優しい春風が胸へスーッと吹き込むような、ノスタルジーと始まりの鐘を鳴らす希望を混ぜ合わせた歌に触れながら、自分が決意を胸に歩みだしたときの姿を想い返していた人たちも多かったろうか。「君なら大丈夫だって」と歌うその言葉が、胸にジンと温かく染みていた。
流れるような美しいピアノの旋律を合図に、演奏は心地好く駆けだした。「私の隣にあなたがいた」、大切な人の存在へ愛しさを覚えるように、今の関係性を大事に育みたいと願うよう、前向きな光を注ぎながら彼女は『usagi no heya』を届けてくれた。愛しい人という存在は、南るみのことを信頼してくれる仲間たちへ向けての言葉。赤いうさぎの目は、彼女自身の心の表情?!。爽やかな想いの匂いを身に覚えながら、大勢の人たちが歌の風をしっかり肌で受け止めていた。
「CDを開けた瞬間、ホントに泣いちゃって。本当に大切な1枚だから、みんなにも本当に大事にしてもらいたいなと思います」
南るみの力強く伸びのある歌声から幕を開けたのが、パワフルでアグレッシブでドラマチックな、 込み上がる熱い感情を生々しくぶつけた情熱あふれる『アカツキ』。魂の叫びという言葉が似合う、彼女の歌声に触れている間中、心が嬉しく震えていた。沸き上がる熱情が身体中を駆けめぐっていた。高い緊張感とテンションを持った演奏と歌声が、そのスリリングな高揚が、狂おしいほどに胸を昂らせる。次第に突き上がる拳、いつしか場内には、ほとばしる感情をぶつけあう空間が生まれていた。
キラキラとした輝きを放ち、その歌声と演奏は次第に熱を膨らませてゆく。響きだした『君の知らない物語』に合わせ場内から沸き上がる絶叫と突き上がる拳。南るみの煽りに触発され、いつしか場内には高揚渦巻く空間が生まれていた。Caramel時代に作りあげていた、互いの感情と感情をぶつけあい裸の心で求めあうあの頃の匂いが、『君の知らない物語』を通し甦っていた。声を張り上げ唄う彼女の歌声も、互いに高めあうことへ喜びを覚えていた。無邪気な笑顔で観客たちを煽るあの姿に、とてもルミらしい素顔を感じずにいれなかった。いや、これが南るみの本来の姿!?。心を開放し、魂を剥き出しに想いを伝える姿こそ眩しくて格好いい。だから魂を震わせ、一緒に叫びたくなる。
続く『嘲笑返し』は、南るみ流のエモーショナルナンバー。沸き上がる感情を…いや、南るみの中に溜まった鬱憤を、激しく疾走した演奏に乗せ彼女は暴言のように吐き出してゆく。「もう僕は僕に嘘をつけない」。自分らしさを振りかざしながら、彼女は熱を詰め込み感情をぶつけていた。躍動する演奏に刺激され身体を揺さぶる観客たちも、ときに声を荒らげ、南るみと一緒に自分を開放。「今ここで叫んでいるのが本当の僕なんだろう」。 その言葉通りに南るみは、本音の姿を晒しながら思いきり自分を解き放っていた。
「今までの過去を無しにするかとじゃなくて、今を大事にして進んでいきます」。最後は、これからの自分の未来を指し示すように、『軌跡の行方』を届けてくれた。弾むビートの上で彼女は、みずからの決意を力強く歌いかけてゆく。その歌声は、いつしか二つの翼を身につけていた。彼女の歌声が、触れた人たちの気持ちをその先に輝く光へ向かわせる。この歌は、彼女の旅立ちを告げる心の声。その声を彼女は、始まりの日にしっかり届けたかった。演奏が終り、鳴りやまないたくさんの拍手は、その想いを受け止めた確かな証だったと信じたい。
止まぬ熱い手拍子を受け、ふたたび舞台へ。「私すごい人を見返したい気持ちで生きてたんだけど、やっぱり見返したい気持ちだけじゃつらくなることがたくさんあった。だから今は、応援してくれる人たちを大事するほうが素敵だなと思って生きてます。みんなの笑顔が私の歌う原動力になっています。自分を責めてた時期もあったけど、私が歌を続けようと思ったのはまぎれもなくここにいる一人一人のおかげなので、これからも責任を持って応援してください」。彼女は、そう告げながら舞台を降りていった。アンコールはワンマンになってからと決めているように、早い時期にその日がくることを、今は楽しみにしていよう。
これから南るみは、1stミニアルバム『そのうちなんてありえない』を手に全国各地を飛びまわる。今回の作品は、ライブ会場および通販限定で発売。それも、今の南るみの音楽へ直接触れ、心を動かされた人たちへその手で想い(音源)を直に届けたいから。ぜひ、彼女と触れ合い、心の声を受け取っていただけたら幸いだ。
この日、サプライズで、盟友のユーミとモモが舞台に現れ、南るみに花束をプレゼント。感激のあまり涙ぐむ場面があったことも、最後に伝えておこう。
TEXT:長澤智典
★オフィシャルサイト・SNS★
南るみWeb
http://minamirumi.com/
南るみtwitter
https://twitter.com/rumi_mame
★CD情報★
南るみ 1st ミニアルバム『そのうちなんてありえない』
2017.09.30 会場限定にて先行リリース!
(2017.10.18 南るみオフィシャルショップにて通販開始!)
1.軌跡の行方 / 2.今日の自分を愛してあげよう / 3.リンク / 4.嘲笑返し / 5.価値
5曲入り / ¥1,500
[初回限定盤] 5曲入り(CD+DVD+ブックレット) / ¥3,000
★LIVE情報★
2017年10月9日(月・祝)『HUG ROCK FESTIVAL 2017 体育の日』
2017年10月13日(金)渋谷eggman
2017年10月16日(月)大阪 アメリカ村Clapper
2017年10月17日(火)名古屋 ell.SIZE
2017年10月19日(木)下北沢440
2017年10月29日(日)六本木morph tokyo
2017年10月31日(火)福岡Queblick
2017年11月1日(水)広島live juke
2017年12月4日(月)大阪 アメリカ村Clapper
2017年12月5日(火)名古屋 大須TOYS
★映像★
[MV] 価値 / 南るみ (short ver.)