3月8日に最新ミニアルバム『BREAK OUT』を発売したがらくたロボット。フロントマンの2人が20歳、後ろを支えるドラムが25歳と、まだまだ鼻っ柱の強いガキどもだ。でも、3人が掻き鳴らすロックンロールには、酸いも甘いも知り尽くした大人たちが「ヤベェ!!」と痺れる「本物な匂い」があふれている。感覚を直撃し、気持ちも身体もグッと引き込むスリリングな衝撃がそこには満ち満ちている。
彼らの音楽に触れた連中は、口々にこう語る。「60年代のブリティッシュビートが、ここに生きていた」「あの頃のヤバいガレージロックが、今ここに甦った」「パンクの衝動を、今も生々しく受け継いだ奴らがいる」「あの頃のめんたいビートが、まさか今の時代に聴けるなんて」と。そんながらくたロボットの魅力を、全楽曲を手がけるヤマモトダイジロウが語ってくれた。
親父の車ん中からTHE WHOが聞こえてたり。生まれたときから、当たり前のようにそういう音楽が流れとった。
――がらくたロボットの音楽に貫かれているのが、ブリティッシュビートやガレージロック、パンクロックなど60年代を軸に置いたシンプルなロックンロールスタイル。これまで、どういう音楽に影響を受けてきたのか、そこから教えて欲しいんだ。
親父の車ん中からTHE WHOが聞こえてたり、生まれたときから当たり前のようにそういう音楽が流れとった。小っちゃい頃からそういう音楽を聴いとったら、呼吸するくらい当たり前に好きになるっちゅうか。
最初に意識的に好きになったんは、クラッシュとかのパンクロック。最初はあの辺のパンクロックに痺れとったけど、だんだんイギリスのビートロックやガレージロックとかが好きになっていく。日本だとルースターズとか。そういう音楽が物心ついた頃から目の前に音源として転がっとりゃあ、親の真似をして当たり前に聴くでしょ。
――生まれたときから生活環境にそういう音楽が流れてたのであれば、呼吸をするように気持ちへ馴染んでいくのは確かに当たり前だね。楽器を手にしたのは何時頃なの?
小学3-4年の頃からギターを弾き始めとった。小学生の頃は、ただギターを弾いてることが楽しかった。中学に入ってからはバンドを組もうとしたけど、同じような音楽が好きな連中は誰一人おらん。ぎり近いところでブルーハーツが好きという奴がおったくらい。それでも、バンドを始めんことにはどーにもならんとわかったんで、高校にはバンドを組むために入って。それでがらくたロボットを組んで、ようやくバンド活動を始めた。
――高校には、同じような音楽性を持っている人たちがいたんだ。
いや、おらんかった。メンバーなんて騙してしまえばそれでいい。とにかく人だけ集め、俺の作った楽曲をみんなで合わせてはライブ活動をしてた。高校時代メンバーはころころ変わったけど、その頃からバンドの活動だけは止まらずにやれてたんが良かった。
――何時頃から楽曲は作ってた?
中学時代から何となく曲だけは作ってた。今でも、その頃と歌ってる気持ちは変わってない。
――それは現状を抜け出し、俺が新しい色に塗り替えてやろうみたいな意識??
んー、ようわからんけど、とにかく何もかもが気に喰わん!!
――音楽面で共感を覚える仲間がいなかったことで、不良の道へ走るとかはなかった??
自分には音楽しかなかったんで。あの頃から今も、ジャーンと音を鳴らした瞬間に俺は無敵になれる。それさえあれば、俺はいいと思ってた。それ(バンド)をやるために、ギターを弾いたり曲を作ってたんで。
――自分を表現する術を早くから見いだしたのは大きかったことだ。
そうやね。それがなかったら引き籠もってたんちゃいます!?(笑)。
ズーッと同じ場所に立っとっても何も変わらん。やから、つねに前へ進むためにBREAK OUTせんと…。
――先にも語ってたけど、今のメンバーに出会うまで大変だったんだね。
俺が言うのも変やけど、みんな高校生やから、何か一つのことだけへ夢中になるってことあんまなかったし。俺がバンドを演りたいからって強制的に縛りつけるのも変な話やし。
あの頃から、とにかくステージに立ってバンド出来りゃ俺はえぇと思ってた。そのためにメンバーを入れ換えてでもライブをやってたんで。
――今のメンバーと出会ったのは、どういう経緯で?
ベースの(ムラカミ)フウタは、もともと違うバンドをやってるときからの知り合い。がらくたロボットのメンバーが二人抜けたときに連絡したら、「入る」と言ってくれた。フウタは同い年やし、俺と同じよう小っちゃい頃からロックを聴いてる環境が同じやったから、感覚的にも揃うところがあった。
ドラムの(イノウエ)タカヒロは、神戸のライブハウスの人の紹介。一回スタジオに入って音を合わせたとき、お互いに「やろっか」となった。
――最初からオリジナル曲で勝負していたんだ。
全部オリジナル。遊びでカバーを演ることはあっても、俺の曲を演れば全部がらくたロボットの曲になる。歌詞だって、思ってることを書いてるだけ。一番新しいミニアルバム『BREAK OUT』で言うなら、「ここ(今の状況)から抜け出したい」とか。歌詞に出てくる「あの娘」だって、人じゃなくてギターや他のことだったりする。とにかく、ズーッと同じ場所に立っとっても何も変わらん。だから、つねに前へ進むためにBREAK OUTせんと…。
そこがどういう環境やどういう人であろうと、俺は「がらくたロボットをやろうぜ」という奴らと一緒にこのバンドをやってたい。
――がらくたロボットの音楽性と言えば…。
アンプにシールドぶっ込んで、ガーンとギターの音を鳴らす。それが、がらくたロボットなんで。それ以上はいらへん。
――ライブでは、何時も両目の部分をくり抜いたスーパーで配る紙袋を被ってライブをやってるよね。
あのロボットみたいな紙袋は、もう被ってない。だからミニアルバム『BREAK OUT』のジャケットでも、もう被らないという意志を示そうとあの紙袋が燃えてる。あんなんに頼らず、ジャーンとダイレクトに音を伝えたら、それでいい。変な小細工はいらん。
――がらくたロボットの場合、作品ごとにテーマを設けて制作していると聴いたけど。
テーマがないまま作品を作ったら、なんかベスト盤みたいになって面白くない。結局は、そのときの自分らの一番リアルな作品にはなるけど。先に「どういうアルバムにしようか?」という話をして、そのうえで曲を決めていったほうが意味のある作品になる。
――昨年発売したミニアルバム『GOOD-BYE THE SUN』の頃から、リリースする環境が変わったよね。それは、自分たちでも望んだ変化?
そうですよ。バンドの活動する規模をどんどん大きくしていきたいんで。出してる音も大事やけど、自分らだけじゃ一点しか見えないっちゅうか、もう一人のメンバーがおると違うところの目が生まれるんで。だから環境が変わったというよりも、俺らはメンバーが増えたっていう意識。
そこがどういう環境やどういう人であろうと、俺は「がらくたロボットをやろうぜ」という奴らと一緒にこのバンドをやってたい。
――前ミニアルバム『GOOD-BYE THE SUN』は、どんな想いを持って制作した作品??
「さよなら10代」的な。あの作品に入ってるのはけっこう昔から演ってる曲も多い。『GOOD-BYE THE SUN』に関してが「さよなら10代」な感じで、あとは勢いがあるから俺はそこが恰好いいなと思ってる。
――10代と20代の違いは大きい??
きっとあるんだろうけど、俺にはわからへん。今も昔も気持ちは何も変わってないし、変わることでもない。10年経ったら変わるかもしんないけど。
自分の気持ちが泣かんとギターも泣かんし、人も泣かせられん。
――3月8日に発売するミニアルバム『BREAK OUT』、この作品にどんな想いやテーマを詰め込んだのか教えてよ。
ブレイクアウト!!、こっから動き出せ!!。みたいな…。
――現状を変えていこうと??
抜け出せ!!。この中に入れた6曲を一つにして、何かを起こそう。これは、自分らの中でも新しい一歩となる作品。そうしたのも、抜け出した先のことが俺には見えている。だからこそ、そこへ行くためにもまずは(現状を)抜け出せ!!と。
――それくらいの覚悟を持った作品だ。
そう、がらくたロボットの覚悟を背負った1枚。後ろを見ず前だけを向いて、そこへ向かって進むだけの覚悟を詰め込んだ作品。
――冒頭を飾った『Lonely It’s Allright』は、かなりガツガツ攻めたロックンロールナンバーじゃない?
これは、次のがらくたロボットの代表曲になると俺は思ってる。これこそ、今現在の一番リアルながらくたロボットやし、俺自身。誰もがみんな独りぼっち。でも、独りぼっちで何が悪い!?、それでええって。それを「おーいぇー!!」って叫んでる。
――『Bye Bye Baby』にも、「抜け出せ」というテーマを詰め込んでいるよね。
『Bye Bye Baby』はズーッとズーッと昔から、高校1年生ぐらいのときから演ってた曲。それを『BREAK OUT』を作ろうとなったときにサビだけを残して曲を作り直し、「抜け出せ」のイメージで歌詞も全部書き変えて作った。
――ガツーンとした音の衝撃を与えるガレージナンバー『BREAK OUT』も、まさにがらくたロボットらしい楽曲だ。
勢いあるんでね。まさに、がらくたロボットらしい曲。音源も恰好いいけど、ライブのほうがもっと恰好いい。
――躍動的なビートが印象的な『キングコング(the chelsea flower show)』もインパクトあったけど。これだけクレジット違ってない??
『キングコング』は、昔、神戸で活動していたthe chelsea flower showというバンドのカバー。俺の曲じゃないけど、今やもう俺らの曲って感じがしてる。
――♪FLASH BACK!!♪と叫ぶ『リンダ』も、ちょっと毛色は異なるけど嬉しいインパクトを与えてくれたんだ。
『リンダ』はニューウェイブみたいな匂いがあって、俺は好きな曲。『BREAK OUT』には、こういう『リンダ』みたいな表情もないと絶対にあかん!!
――それを言うなら最後の『ハネル』は、ミッドメロウな、胸をジーンと揺さぶる歌に涙しそうなくらいの名曲じゃない。
『ハネル』は名曲ですわ。『ハネル』はがらくたロボットを組んだときに、初めてメンバーらに持っていった曲。気持ちのまんまに叫ぶしかない。それが15-16歳当時の俺のほんまに剥き出しな言葉であって、今もある気持ち。だから、この曲はすごく好き。
――こういう曲調を15歳頃に作ってたなんて、冴えたセンスしてるね。
『BREAK OUT』みたいな曲って3分で出来る。歌詞を書き殴って、音をガーンと鳴らしたら、勢いや衝動でどないかなるんですよ。でも、『ハネル』のような絞り出す歌は、自分の気持ちと向き合うことがすべて。それこそ、このアルバムの中で一番衝動的で衝撃的なのが『ハネル』。
――『ハネル』のギターも、いい感じで泣いてるよね。
自分の気持ちが泣かんとギターも泣かんし、人も泣かせられん。
今の時代を変えるなら今の時代をつかんどかんと勝負にもならん。昔も今も全部ひっくるめて、自分が刺激を受けたもんを今の時代の中へどう出すかが大事なことやから。
――完成したミニアルバム『BREAK OUT』、どんな作品になった手応えを感じてる?
「無敵!!!」。聴いてくれたら、全部わかる。そのうえで「恰好いい」でも「糞やー」でも、感想はなんでもいい。ただ、まともな奴らは俺らの音楽は聴いたらあかんで。
――えっ、そうなの??
俺らみたいな音楽を聴く人はまともじゃないでしょ、狂ってる。
――がらくたロボットの場合、今の姿勢を貫きながら突き進んで行くんだろうね。
俺はそうです。ただ、今を知らんといけんとも思ってる。がらくたロボットは、昔の音楽みたいに言われるけど、昔の音楽しか知らんかったらただの回顧主義なだけ。俺は、そんなん大嫌いやし、そこに固執してる連中は糞喰らえやと思ってる。今の時代の中でも嫌いなものを無理に好きになる必要はないけど、今の時代を変えるなら今の時代をつかんどかんと勝負にもならん。昔も今も全部ひっくるめて、自分が刺激を受けたもんを今の時代の中へどう出すかが大事なことやから。
――確かにそうなんだよなぁ。
俺ら、おじちゃんおばちゃんらに人気やし、それでもいいけど。やっぱ、時代を変えるのは何時だって若者。今の若者は、こういう音楽をわからんでもええみたいな顔しとるけど、じゃあ俺らがわからしてやるよっていうだけ。ほんまそれだけですわ!!!
TEXT:長澤智典
★オフィシャルサイト・SNS★
がらくたロボット Web
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がらくたロボット twitter
https://twitter.com/GaraRobo
★CD情報★
『BREAK OUT』
がらくたロボット
2017年3月8日
BZCS-1151
BELLWOOD RECORDS
収録曲
1.Lonely It’s Alright
2.Bye Bye Baby
3.キングコング
4.リンダ
5.BREAK OUT
6.ハネル
★LIVE情報★
3/8 Wed. 神戸 太陽と虎
3/23 Thurs. 渋谷 Cyclone
3/24 Fri. 横浜 F.A.D
3/25 Sat. 下北沢CLUB251