10月12日と13日の2日間に渡り、TSUTAYA O-WESTで音楽舞台劇「Sing Equally under the Sky-DIVISION-」が上演された。
舞台後方高台に2台のドラムセットを設置、その下にアンプ類を据える形でステージ上には2つのバンド用のセットを配置。物語は、自由を獲得するための革命を起こそうと鼓舞する集会場を舞台にしたライブシーンから幕を開けた。
戦争に荒廃した近未来。指導者たちは国の秩序を守るため、幾つもの階層に人間を分類。平和を維持するために掲げた七大禁則のもと上層社会の人たちが国を支配すれば、階層を下げるほど、人は上の階層の人たちを支える立場となっていた。だが、最下層に投げ捨てられた人たちだけは人間扱いされることはなかった。その最下層の人たちが自由を獲得するため、この国を支配する政府を打倒しようと七大禁則を破り、自由革命軍と称し立ち上がった。そこには、戦いで革命を起こそうと意気込む人たちと歌を通して革命を煽動してゆく人たちがいた。
秩序を知らない無法者たちが結束を固め政府へ謀叛を起こす一方、政府の人たちは死罪を掲げ、反乱者たちを殲滅しようとしていた。その物語の中でいくつも生まれた「生きる意味」を問いかけた友情や裏切りなど人との関係。武力を持って武力を鎮圧しようとする愚かな行為の繰り返し…。
この作品は、歌で人の心を一つに結びつけてゆくことがテーマの一つになっていることから、役者たちが描く物語の要所要所にライブシーンを組み込んでいた。ときには、ライブバトルという名のもと、2つのバンドが交互に演奏を行えば、2バンドが一緒に一つの歌を奏でるときも(ツインドラム/ツインベース/ツインギターの迫力は凄まじい)。演奏中も、舞台上では役者たちによる演技(主に戦いの場面)が繰り広げられていた。観客たちも、その場にいることがすでに集会へ参加した役者としての役割を担っていた。
音楽を添え物ではなく、音楽と演技を同一に扱い、舞台劇と歌を通して「Sing Equally under the Sky」という物語は形作られている。
「Sing Equally under the Sky-DIVISION-」と題したこの物語は、過去に上演された「Sing Equally under the Sky.-AWAKEN-」の前章となる物語。つまり、エピソードゼロとなる。始まりの舞台を体験したことで、その続きを観たくなった人たちも多かっただろう。事実、物語の最後には「革命の物語へ続く」と予告されていた。と言うことは、ふたたび「Sing Equally under the Sky.-AWAKEN-」を再構築して描き出すのか、とても気になる。
今回の舞台では、コタニキンヤ/michi.(S.Q.F)/小林写楽(メトロノーム)/Ricky(DASEIN)の4人が役者として演技も見せていた。今後も続きの上演が続く場合、どんなミュージシャンらが物語を彩ってゆくのかも楽しみだ(同じかも知れないし違うかも、そこはまだ未定)。何よりライブハウスを舞台にしたように、観客たちもスタンディングのもとライブシーンでは熱狂しながら物語を楽しんでいた。この続きが何時、どういう形で現れるのかは定かではない。が、そのときを期待して待ちたくなった。それくらい,次の展開を楽しみにさせる物語がそこには描き出されていた。
TEXT:長澤智典